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新型コロナのゲーム開発現場への影響。リモート出向とは?

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ゲーム業界は新型コロナウイルスの影響が少ない業界だと言われています。それどころか逆に、巣ごもり需要でゲーム業界は伸びていると思われている方も多いようです。

 

ゲーム業界の底辺で働いているフリーランスの3DCGデザイナーの私には、業界自体が好調なのかどうかは分かりません。

 

ただ現場の開発状況の変化に関しては、身に沁みて実感しているので、今回はその辺りを記事にしてみます。

 

大手ゲーム会社社長のインタビュー記事の紹介

まずはある記事を紹介します。

  • 株式会社サイバーコネクトツー 代表取締役 松山洋氏
  • 株式会社トイディア 代表取締役(CEO) 松田崇志氏
  • 株式会社ビサイド 代表取締役社長 南治一徳氏

ゲーム業界の社長3人によるインタビュー記事です。

 

 

詳細はリンク先の記事を読んでいただければ幸いです。カジュアルゲームが伸びたという話もありますが、5億円の損害が出たという話もあり、「巣ごもり需要でゲーム業界ウハウハ」のような状況ではないことは、お分かりいただけるかと思います。

 

それよりも開発の遅れをデベロッパー(開発会社)が被らないといけないことや、リモートワークの弊害など、開発への悪影響の方が多い印象ですね。

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出向(客先常駐)が大幅に減った

ホームオフィス
5億円の損害が出た、というような大きな話は社長さんたちに任せて、ゲームの開発現場について書いていきます。

 

一番大きな変化は「出向が減った」ことでしょう。

 

この業界は出向といって客先に常駐して仕事することが多くあります。孫請けの会社の社員が、直請けの会社に出向して作業するケースなどですね。

 

ところが新型コロナの影響でこの出向が大きく減りました。その理由はもちろんリモートワークです。発注側の会社から見れば社員がリモートワークしているのに、協力会社の社員に出向してもらっても意味がないですよね。

 

私自身もフリーランスのデザイナーとして、クライアントであるゲーム会社に常駐して作業することがよくあったのですが・・・

 

あるクライアントさんとの会話

クライアントと電話
先日、なじみのクライアントさんから仕事の依頼がありました。

 

○月からスケジュール空いてます?またモデリングの仕事をお願いしたいのですが

 

 
 

大丈夫ですよ。また御社に常駐ですか?

 

 
 

いやリモートで大丈夫です。

 

 
 

お!?、そうなんですね。前は出向でないと効率悪いとよく仰ってたのに珍しいですね。

 

 
 

今、社員がリモートワークしているので、こちらに来てもらっても誰も居ないんですよ。ハッハッハ

 

 
 

・・・・

 

 

コロナ以前は「社内に来てもらわないと仕事にならない」と仰っていた会社だったので、ちょっとびっくりしました。確かに社員がリモートワークしているのに、外部の人間(今回のケースだと私)が中で作業するのもヘンですよね。

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リモートワークできない原因 開発機とフレームワーク

ゲーム コントローラ

ゲーム開発会社が全てリモートワークに移行しているかというと、そういう訳ではありません。一番の問題は開発機とフレームワークです。この場合のフレームワークというは、ゲームメーカー独自のゲームエンジンを含む開発環境のことですね。

 

開発機やフレームワークは作業できる環境が契約で縛られています。例えばあるメーカーさんのフレームワークだと、ファーストデベロッパ(メーカー直請けの開発会社のみ)でしか使用してはいけない、という契約があったりします。

 

そのファーストデベロッパから仕事を請ける孫請け以下の会社は、ファーストデベロッパに出向して作業するしか方法がないのです。

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不思議な言葉「リモート出向」

部屋 一人

とはいえ新型コロナの影響で、仕事はリモートワークに切り替えざるを得ません。そこで出てきた作業体制がリモート出向です。

 

リモート出向とは、概ね下記のような仕事環境です。

  • 在宅でのリモートワーク
  • 他社の作業はしない
  • 開発環境は貸し出し
  • 徹底した機密保持

 

例えば孫請けA社の社員が発注元B社に出向して作業していたとします。それがリモート出向になると、下記のような作業環境に変わります。

  • 仕事場所はA社ではなく自宅
  • 開発環境はB社からの貸し出し

 

仕事場所がA社ではなく自宅というのがポイントです。自宅で作業する理由は、新型コロナへの感染を避けるためなのですが、それだけではありません。もうひとつの理由が機密保持です。

 

厳しいゲーム業界の機密保持

セキュリティ

ゲーム業界は機密保持の厳しい世界です。開発しているゲームのタイトルが大きくなればなるほど、一つのニュースの重要性が増します。

 

AAAタイトルだと「次回作に〇〇のモンスターが登場する」だけでも大きなニュースになります。仮にそのニュースが漏洩したりすると、その開発会社はメーカーから仕事を請けられなくなるでしょう。

 

ゲーム業界で出向が多いのは、開発環境の問題もありますが、機密保持が重要なことも関係しています。

 

リモート出向でもその点は変わりません。リモート出向の作業場所が自宅なのは、新型コロナの影響を避けるためだけではありません。自宅で作業すれば、他の社員に開発内容が分からないのです。

 

他にも機密保持のために、下記のような対策がされています。

  • 指紋認証PC 作業者本人しかPCを触れない
  • 他人入室不可 作業場所には本人しか入れない
  • リスク管理ツール 作業内容やアクセスログの記録

 

リスク管理ツールとは情報漏洩を防止するためのソフトウェアです。作業PCにインストールされており、作業したファイルやアクセスしたWebサイトなどが記録されています。USBへのアクセスももちろんチェックしているので、USBメモリを使用することもできません。

 

早い話が、クライアントさんにがっつり監督されながら、自宅で作業するのがリモート出向になります。

 

まとめ ー 気楽のようで気楽でないリモート出向

机と椅子

リモート出向、という言葉が一般的なのか、それとも私の周りだけで使用されているのかはよく分かりません。ただ先日、東京の知人とZoomミーティングしたときに、今はリモート出向している、と話していたので、そこそこ業界で使用されている言葉のようです。

 

新型コロナの影響で生まれたワークスタイルかもしれません。

 

もちろんリモートワークやリモート出向に移行せず、時差出勤や隔日出勤で対応している会社もありますが、今回は実際にリモート出向している私のケースを記載してみました。

 

作業しているPCはどのWebサイトにアクセスしているのか、ばっちりと監視されているので、将棋の名人戦の中継を観たいなーとか、阪神戦の結果が気になる、と思いつつももちろんアクセスすることはできず、もんもんとしながら作業していますw

 

いや、仕事中なので当たり前なのですが(^^;