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お金2.0 柔らかな頭で居続けるために読むべき新しい経済の解説書

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以前に茂木健一郎氏が、人間の脳で最も素晴らしいのは可塑性だ、と発言されていました。この可塑性というのは英語にするとplasticityで、柔軟さや適応力、形を変えられる、という意味になります。

 

もし、ずっと柔軟な思考力を保ち続けたい、という考えをお持ちであれば、一読する価値のある本です。

 

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「お金2.0」というタイトルですが、お金の稼ぎ方を指南する本ではありません。内容を正確に表現しているのは副題の方です。「新しい経済のルールと生き方」という言葉がこの本の内容を的確に表現しています。

 

 

中央銀行ができたのはつい最近のこと?

仮想通貨に否定的な意見として多いのが、中央銀行のような管理者がいない通貨は信頼できない、という点だと思います。日本円であれば日本銀行が、ドルであればアメリカの中央銀行であるFRBが管理しています。

 

ところが仮想通貨には管理者が存在しません。ブロックチェーンという技術が中央銀行の代わりに信頼性を担保しています。

 

では、この中央銀行が通貨を管理する制度はいつ確立したのでしょうか。イギリスの中央銀行であるイングランド銀行の発祥は1694年ですが、当時はまだ他の銀行も独自の通貨を発行していました。1834年にイングランド銀行が発行するイングランド銀行券が法的にイギリスの通貨として認められました。そこから各国に中央銀行が誕生し、その制度が確立しました。ただ今でのほとんどの国にある中央銀行も、1960年には約50国程度でした。

 

年代別に整理すると、下記のようになります。

  • 1834年 最初の中央銀行であるイングランド銀行
  • 1882年 日本銀行設立
  • 1913年 米国連邦準備制度設立
  • 1960年 世界で中央銀行が設置されている国が約50カ国になる

早い話、中央銀行がお金を管理するようになったは最近のことだといっていいでしょう。

 

当時と異なり、今は情報伝達のスピードにも格段の差があります。仮想通貨が経済の新しい枠組みとして確立するのも、それほど遠い未来ではないでしょう。いや、既に50兆円を超える市場があり、ICO(仮想通貨による資金調達)という制度もある以上は確立しているといってしまっていいのかもしれません。

 

既存の金融知識のある人ほど、新しい枠組みをその知識の見地から見てしまいがちです。だからこそ胡散臭い、私はやらない、という考え方も出てくるのも当然だと思います。

 

でも、ひょっとしたらそれは、

  • 10年前にSNSは怪しいからやらない
  • 20年前にインターネットは危ないからやらない

と言っていた人と同じ行為かもしれないのです。

 

デジタルネイティブとトークンネイティブ

パレートの法則はご存知の方も多いと思います。上位の2割が下位の8割を支える構造のことなのですが、人間の富という点で考えるとこの割り合いはもっといびつです。

 

世界経済でいうと「上位80人」と「下位35億人」の所得がほぼ同じだそうです。パレートの法則どころではないですねw

 

富の集積もそうなのですが、他におもしろい概念でトークンネイティブという言葉が紹介されています。

 

近い言葉でデジタルネイティブがあり、これは生まれたときからパソコンが身近にあった1980年生まれの世代を差します。トークンネイティブとは生まれたときからブロックチェーンやビットコインが身近にある世代を意味します。

 

ビットコインや他のアルトコインなどの仮想通貨や、今後、SNS内で独自で発行されたトークンなどが日常的に使用できるようになるかもしれません。私達はともかく、生まれたときからそれらが身近にあるトークンネイティブは、何の違和感もなくそれらを使うことになるのでしょうね。

 

ある経済圏のトークンは通貨と同じ

今は多くの人がAmazonを利用しているでしょう。そのAmazonがもしAmazon内でだけ利用できるトークンを発行したらどうなるでしょうか。トークンが分かりにくければ、Amazon通貨でもかまいません。

 

Amazonでモノを売れば、Amazon通貨が得られ、それで生活用品に替えればそれだけで生活ができます。もしAmazonに動画サービスやブログサービスがあり、それで収入を得ることができれば、その経済圏だけで生活ができるのです。

 

同じようなことはGoogleや楽天でもできるかもしれません。Youtuberのようなネットで収入を得ている人は、得た収入を法的通貨に収入を変換しているだけで、もしAmazon通貨や仮想通貨の方が返還率が良ければ、その経済圏に属したほうがいい生活ができるかもしれないのです。

 

まとめ ー 重要なのは柔軟な思考であり続けること

最初にも書きましたが、この本はお金を稼ぐための指南本ではありません。経済書のひとつと考えたほうがいいでしょう。

 

ロボットやAIが進化し、人間が労働から開放され、ベーシックインカムが導入されるようになった場合の価値観の変化や、電子国家と呼んでもいいエストニアの事例など、内容は多岐に渡ります。

 

本著に取り上げられているイギリスの作家ダグラス・アダムスの言葉が興味深いです。

人間は、自分が生まれた時にすでに存在したテクノロジーを、自然な世界の一部と感じる。15歳から35歳の間に発明されたテクノロジーは、新しくエキサイティングなものと感じられ、35歳以降になって発明されたテクノロジーは、自然に反するものと感じられる。

新しい技術や経済圏、価値、トークンなどパラダイムシフトは今後も起こるでしょう。それらを拒絶したり、怪しいものだ決めつけてしまうのではなく、柔軟な思考で捉えていきたいと考えています

 

「お金2.0」はその柔軟な思考の役に立つ本といっていいでしょう。私もけっこういい歳なのですが、俺の脳はこねこね形が変わるくらい柔らかい脳みそだー!、と叫びながら読んでいます。いや、実際には叫んではいませんがw