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三国志1天狼の星 正史でも演義でもない北方謙三三国志

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三国志は日本の多くの作家が手がけています。代表的なのが吉川英治氏と宮城谷昌光氏でしょうか。マンガでも横山光輝三国志や「蒼天航路」などが有名ですね。

 

歴史作家の北方謙三氏が執筆された三国志は正史でも演義でもない三国志、という感じでしょうか。誰かが「北方三国志」といっておられたのを見かけたことがあるのですが、まさにその通りだと思います。

 

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(出典 Amazon)

北方謙三氏の三国志の特徴のひとつは「劉備玄徳」という表記をしていることです。日本人にはこの方がしっくりくるのですが、正確な呼称は「劉備」もしくは「劉玄徳」です。

 

もちろん北方氏はそれを知っていて、日本に馴染むようにアレンジされているのでしょう。

 

黄巾の乱から襄陽の戦いまで

北方謙三三国志の第1巻は黄巾の乱から襄陽の戦いまでを描いています。登場する人物で表現すると、劉備、関羽、張飛の出会いから、孫堅が戦死するまで、ですね。

 

劉備、関羽、張飛の桃園の誓いはありません。三国志演義では有名なシーンの一つなのですが、北方三国志では劉備が名主に馬の輸送を頼まれて、それに関羽と張飛が合流するというエピソードになっています。

 

馬の輸送が終わったあとは、関羽と張飛は劉備を君主として仰ぐべきかどうか見極めるべく、劉備の出身地である涿県に同行します。そこで劉備の意思を確認して義兄弟になるという流れですね。

 

桃園の誓いではないのですが、三人が宴会をする場面はあります。17歳の張飛が関羽に指示されて肉を焼くシーンがあったりして、何となくほのぼのします^^

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正史でもない演義でもない北方三国志

洛陽を占拠した董卓と反董卓連合の戦いで、大活躍したのが董卓軍の華雄です。この華雄という武将は演義では活躍するのですが、正史ではあっさりと戦死しています。華雄を討ち取った武将も異なっていたりします。

 

正史

  • 胡軫の配下が華雄
  • 祖茂は孫堅の身代わりに
  • 孫堅軍が華雄を討ち取る

 

演義

  • 華雄の副将が胡軫 
  • 華雄が祖茂を打ち取る
  • 関羽に華雄を討ち取る

 

北方三国志

  • 胡軫は登場しない 
  • 祖茂は孫堅の身代わりに
  • 関羽に華雄を討ち取る

 

北方三国志では、華雄は演義ばりの強さを発揮するのですが、最終的には関羽に討ち取られます。やっぱり演義ベースの作品かと思ったのですが、孫堅軍の祖茂は華雄に討ち取られるのではなく、孫堅の身代わりになって戦死します。孫堅の身代わりになる、というのは正史にある話ですね。

 

正史と演義のミックスでもあり、北方氏独自の解釈もあるのが、北方三国志といわれる所以なのでしょう。

 

気になるのが呂布の妻

気になるのが呂布に「揺」という名の11歳上の妻が存在することです。演義で有名な貂蝉は登場するのかどうか1巻では分かりませんでした。

 

正史では呂布に妻は存在します。

  • 呂布の武将郝萌が反乱したときに着の身着のままでトイレから逃げた
  • 長安で呂布に見捨てられた(配下の武将が助けた)
  • 呂布は妻以外の複数の武将の妻や女官に手を出していた

上記のようなエピソードが残っているのですが、この妻が北方三国志の揺に該当するのかどうかは分かりません。

 

北方三国志では、董卓が自分が囲んでいた数多くの女性から呂布に一人を与えるシーンがあります。ああ、この女性が貂蝉になるのかな、と思ったら、呂布は彼女を自宅に連れて帰って下女にしてしまいます。

 

この女性がのちのち貂蝉になるのかな・・・?

 

演義で呂布に貂蝉を送り込んだ王允は登場しているので、2巻以降の展開次第というところでしょうか。

 

まとめ ー 北方三国志の独自の話に期待

1巻を読んだ限りでは、北方三国志は正史と演義の両方をベースに北方氏の独自の解釈を加えた三国志、と考えて良さそうです。

 

簡単にいうと、いいとこ取り、ですね。

 

でも小説は、読んで楽しめてナンボ、だと思いますので、それで良いかと思います。つい最近、三国志の最後に登場する杜預という武将について記事を書いたのですが、北方三国志がそこまで書いてくれると良いなあ^^