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センゴク権兵衛10 長宗我部家の運命を変えた一人の武将の戦死

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戸次川(へつぎがわ)の戦いがマンガ化されたのはおそらく初めてでしょう。豊臣秀吉による九州征伐の前哨戦で、島津vs四国連合軍ともいうべき戦いでした。

 

この戦いでは一人の武将が戦死しています。長宗我部元親の長男で将来を期待されていた長宗我部信親です。この信親の死が、その後の長宗我部家の運命を左右したといってもいいでしょう。

 

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センゴク10巻では戸次川の戦いに決着がつきます。

表紙は島津家久かな。島津四兄弟の一番下の弟で、戦術では一番優れていたといわれている武将ですね。

 

 

戸次川の戦いに至る背景

当時の九州は島津氏が勢力範囲を大きく広げていました。

耳川の戦いで大友氏を破り、沖田畷の戦いで龍造寺隆信を討ち取った島津軍は、大友氏の本拠地である豊後にまで侵攻していました。

 

大友氏の重臣である立花道雪が島津氏の侵攻を何とか防いでいましたが、道雪が病死すると大友氏単独では島津氏に対抗できなくなります。当主の大友宗麟は大坂まで上り、豊臣秀吉に島津征伐を直訴します。

 

秀吉は先遣隊として四人の武将を送り込みます。

  • 仙石秀久
  • 十河存保
  • 長宗我部元親
  • 長宗我部信親

この中で武将としての力量が最も優れていたのは四国を統一した長宗我部元親でしょう。ただ軍監(軍隊の監督者)として秀吉が指名したのは仙石秀久でした。この仙石秀久が本編の主人公であり、大敗を招いた原因を作った人物でもあります。

 

大友+四国連合軍と島津家久軍の戦力差

大友+四国連合軍は数では、島津家久の豊後侵攻軍を上回っていました。ただ大友軍の士気は低く、しかも大友宗麟の臼杵城と息子である義統の府内城に戦力が分散していたため、動かせる軍勢は6千でした。

  • 大友+四国連合軍 6千
  • 島津家久軍 1万8千(一説には一万5千)

これだけ人数に差があれば、最初から勝ち目がありません。

 

ちなみに長篠の戦いは、織田信長が鉄砲隊で武田騎馬軍団を打ち破った戦いだといわれていますが、実際は率いていた戦力差で勝敗がついた戦いです。

  • 織田+徳川連合軍 3万8千
  • 武田軍 1万5千

 

最初から戦力差が合った上に、秀吉からも本体が到着する前に戦闘を仕掛けてはいけないという指示が出ていました。戦術眼に優れた長宗我部元親も出戦には反対しています。

 

それに強行に反対して出戦し、大敗を招いたのが仙石秀久でした。

 

仙石秀久の逃亡と長宗我部信親の戦死

戸次川の戦いで仙石秀久は大敗し、逃亡します。その逃げっぷりは凄まじく、九州から自分の本拠地である淡路まで逃げています。この大敗が原因で仙石秀久は秀吉に領地を没収され、高野山に追放されています。

 

そして長宗我部信親は戦場で討ち死にします。このときに長宗我部家の重臣も多く討ち死にしています。

  • 福留儀重
  • 本山親茂
  • 桑名親光
  • 依岡左京
  • 石谷頼辰
  • 久保貞吉
  • 谷彦十郎

マンガで登場しているのは桑名親光だけですが、多くの名だたる家臣が討ち死にしました。福留儀重や本山親茂などは家老クラスの人物ですね。

 

久保貞吉は久保宗安の息子で、谷彦十郎は長宗我部家の外交で活躍した谷忠澄の息子です。長宗我部信親が当主元親の跡継ぎであったこともあり、多くの二世武将を信親付きにしていました。

 

それらの家臣団と跡継ぎの信親を失った長宗我部家は大打撃を被ったといっていいでしょう。長宗我部元親は信親の死を聞いて自害しようとしたとさえいわれています。家臣に止められて自害こそはしなかったものの、以降の元親は明らかに覇気を失い、別人のように誤った采配を繰り返すようになります。

 

まとめ ー もし長宗我部信親が死んで居なければ

もし長宗我部信親が戸次川の戦いで死んでいなければ、長宗我部家のその後は大きく変わっていたでしょう。

 

長宗我部信親が戦死したのは22歳のときですが、もし関ヶ原の戦いまで生きていたとしたら35歳です。戦国武将としてはもっとも油の乗った時期に戦国最大の戦いである関ヶ原の戦いを迎えていたはずです。

 

長宗我部家は関ヶ原では、当主の長宗我部盛親が若年だったこともあり、何の戦果も上げることなく敗退しました。関ヶ原で領地を失った長宗我部家は、大坂の陣を経て歴史からその姿を消します。

 

英邁を謳われた長宗我部信親が、戸次川の戦いで死なず、長宗我部家を率いて関ヶ原の戦いに参加していたら・・・歴史は変わっていたでしょうね。