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失踪HOLIDAY 乙一氏の心があたたまる誘拐事件

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発行されたのが2000年なので、もう18年前の作品です。帯に「映像化」とあるように、2007年にはテレビドラマにもなっています。

 

著者の乙一氏は、知っている人は知っていると思いますが、押井守さんの娘さんと結婚しているので、押井守の義理の息子さんになりますね。

 

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乙一氏の作品は切なくも心があたたまる作品と、そうでないブラックなものとがあります。失踪ホリデイは前者ですね。ホラーっぽい作品もあるので、著者で作品を選ぶタイプの人は注意が必要です。

 

失踪HOLIDAYのあらすじ

ナオは母親と二人で貧しい生活を送っていたが、母が再婚したことで状況が一変する。母親が資産家の菅原國光と結婚したのだ。菅原家は使用人を何人も抱え、年初に総理大臣が挨拶に来るくらいの名家だった。

 

菅原ナオとなったナオの幸せは長くは続かず、彼女の母親は結婚して2年後に他界する。血縁関係のないナオは追い出されるかと不安に感じていたが、父親である菅原國光の愛情は変わらなかった。

 

ナオが14歳になった頃に父親である菅原國光がキョウコと再婚する。ナオとキョウコは衝突することが多かった。とりわけナオが不在のときにキョウコが自分の部屋に侵入しているのでは気づいたナオはついに家出を決意する。

 

家出先は自宅の離れにある使用人である楠木クニコの部屋だった。当初はすぐに戻るつもりだったが、リビングの様子を盗みみたときに菅原國光やキョウコの楽しそうな様子に腹を立て、狂言誘拐を考える。

 

そして菅原家に、ナオが書いた誘拐犯からの手紙が届き・・・

 

こころがあたたまる狂言誘拐物語

私は過去の記事で、一番お気に入りのライトノベルとしてこの作品を選んだことがあります。

 

 

今回、本棚を整理していたら「失踪HOLIDAY」が出てきたので、再読してみました。以前に読んだのは多分7、8年前なので、忘れていることも多くありました。

 

菅原ナオは離れの楠木クニコの部屋に潜みながら、母屋の様子を観察します。最初はちょっとした家出のつもりだったのですが、自分が居なくても楽しそうな団らんをしている父親に嫉妬し、狂言誘拐を思いつきます。

 

ところが警察が着て大騒動になったことで、今度は狂言誘拐をどう収拾するかを苦心します。14歳の少女が主人公なので、読んでいて「この子はどうなってしまうのだろう?」と心配になってしまうところが、著者の上手いところでしょうか。

 

乙一氏のミスリードも上手い

劇中で菅原ナオを匿う?楠木クニコは屋敷の外に友人が居ます。クニコは時々その友人の家に遊びにいって、その度に友人が焼くパイをお土産に持って帰ります。

 

この設定だとほとんどの人は「パイが焼くのが得意」=「女性」だと考えるのではないでしょうか。細かいところですが、こういう設定を上手く使えるところがミスリードを誘う著者のテクニックなのかもしれません。

 

最初に読んだときはこの設定がミスリードになっていることに気づかなかったのですが、再読するとこういう細かいところに気づいたりするので良いですね。

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まとめ ー 心があたたまる誘拐事件

菅原ナオを匿う楠木クニコのキャラクターが良いですね。そして父親である菅原國光の、ナオは家族なんだ、という発言も。

 

物語は家出から失踪へ、狂言誘拐へ、そして最後には本当の誘拐?、に発展します。

 

でも、心があたたまる事件なのです。その理由はやはり登場するキャラクターにあるのでしょう。