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成果物ベースのプロジェクトが楽なわけではないというお話

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昨日の記事で人月計算のプロジェクトの記事を書いたのですが、今回は人月計算ではないプロジェクトについて書いてみます。いわゆる成果物ベースのプロジェクトです。

 

あるクライアントさんは「グロス請け」という言葉を使われていたのですが、この言葉が業界で一般的なのかどうかは分からないので、今回は成果物ベースという言葉で進めることにします。

 

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要は納品した分だけお金をもらう、という形式なので、こちらの方が分かりやすいといえば分かりやすいのですが。

 

 

成果物ベースのプロジェクトの予算

成果物ベースのプロジェクトとは、納品する成果物の金額を予め設定しておき、定められた期間に納品した分を対価として報酬をもらうプロジェクトです。

 

例えば、ゲームに登場するキャラクターのモデリングを毎月4体請け負ったとします。1体の予算を50万円とすると、

 

  • キャラクター1体の単価 50万円
  • キャラクター 4体

プロジェクトの月額予算 200万円

 

毎月4体納品するので、200万円をクライアントさんから報酬として受け取る、というような形式です。運営中のソーシャルゲームで、毎月新しいキャラが定期的に追加されるゲームなどで多いプロジェクトです。

 

一体ごとの製作期間が同じではない

このプロジェクトであっても、もちろんリーダーのポジションは必要なのですが、それについては昨日書いたので、今回は割愛します。

 

成果物ベースのプロジェクトの場合の難しさは、各成果物によって作業にかかる期間が異なることです。

 

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当たり前のことなのですが、キャラクターの見た目は個々に異なります。複雑なデザインもあれば、製作しやすいデザインもあります。

 

対象となるのがキャラクターではなくて、イラストやエフェクトであっても同じです。全く同じイラストを納品ということはないので、製作するイラストによって作業にかかる期間は変わります。

 

問題になるのは請求できない場合

成果物ベースのプロジェクトの場合、問題になるのは月末に請求できないケースです。

 

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毎月4体納品といっても、

  • 15日で製作できる
  • 24日で製作できる

上記であれば、前者は納品できても後者は間に合わないことになります。前者を担当していた人が、後者を手伝えば良いのでは?、と思われるかもしれませんが、実作業としてはそれは難しかったりします。

 

1枚のイラストを2人で描いてね。そのかわり作業時間は半分で、といっても難しいですよね。

 

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グラフにするとこんな感じになります。

一ヶ月の営業日は20日間なので、月初にスタートした場合、24日間かかるキャラクターはどうしても月末に間に合わないことになります。

 

もっとも実際は、

  • スキルの高いスタッフに担当してもらう
  • 休日出勤&残業

などで、何とか納品に間に合わせてもらうことがほとんどです。

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成果物の検収に通らないケースも

成果物ベースのプロジェクトの場合は、納品した成果物に対してクライアントさんの承認を得る必要があります。いわゆる検収です。

 

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4体のキャラクターを無事に月末までに納品したとしても、

 

この2体のキャラクターはクオリティが低いよね。こことここを作り直してください

 

 

とかいわれちゃうと、月末に請求できなかったりします。一体一体の値段は少なくても、複数のプロジェクトでこれが発生したりすると、会社の資金繰りに影響を及ぼします。

 

まとめ ー 必要なのは綿密な見積もり

成果物ベースの場合に必要なのは綿密な見積もりです。

 

キャラクター1体ごとにきちんと製作期間を計算し、その分を予算に計上できていれば問題はないのです。ところが、キャラクター1体の製作日数は○○日で、予算は○○万円、というような取り決めだと、炎上への道をひた走ることになります。

 

最初にクライアントさんと、

 

1体ごとに作業期間と予算を見積らせてください。納品と請求もそれに沿ってお願いします

 

 

という合意が取れていれば、まず大丈夫なのですが。

 

以上、ゲーム開発であまり語られることのない、下請け会社の苦労話でした~。