デザイナーのコミュニティについて考える。ゲームイラストの場合で考察
最近、話題になっていた(炎上していた?)ツイートがあります。がんそんさんという方のツイートで、デザイナーのコミュニティを作ってみては?、というものでした。
15人くらいのデザイナーのコミュニティで、
- デザイン頼み放題
- 誰に頼んでもOK
というのが特徴です。
これ、デザイナーの人に提案なんだけど、
— がんそん/フリーター/東大目指します! (@gunson_sns) December 9, 2018
15人くらいのデザイナーのコミュニティがあるなら、
月額10,000円くらいで、
・色んなデザイン頼み放題
・誰に頼んでもOK
みたいなサービス始めるのどうかな?
面白くなると思うんだよね。
100人登録したら、それだけで100万円の市場価値になるし‼️🙋♂️
私はゲーム業界に居るすちゃらかCGデザイナーとして、これについて思うところを書いてみます。
- フリーランスの月収とコミュニティのマーケットとの比較
- イラストの工数と価格からの考察
- コニュニティが成立する適正額を考える
- コミュニティの運営をどうするか
- まとめ ー そのままでは成立しないが、アイデアとしておもしろい
フリーランスの月収とコミュニティのマーケットとの比較
デザイナー15人に対して、依頼する人が100人存在すれば、100万円のマーケットになります。
ただ、100万円といっても、マーケットとしてはそれほど大きくはありません。ゲーム業界でデザイナー一人の人月単価は90万から60万くらいです。
ただこれは企業としての請負価格です。
フリーランスのデザイナーの収入としては、毎月50万くらいが妥当でしょう。年収でいうと600万円になり、退職金などがないフリーランスとしては、適切な収入だと思います。
つまり依頼する人が100人居て、100万円規模のコミュニティであれば、フリーランス二人がフルで動けるという計算になります。
デザイナー15名くらいのコミュニティという前提で考えると、フリーランスの人がフルで参加するのではなく、メインの仕事があって、合間に受託できるようなサービスが理想でしょうか。
イラストの工数と価格からの考察
デザイン頼み放題、を考える上で、デザインにかかる工数と価格から考えてみます。
私はゲーム業界のデザイナーなので、ゲームに使用されるキャラクターイラスト1点の工数と価格を考えてみます。
- ラフ 2日
- 線画 1日
- 着色 4日
アニメ塗りか厚塗りか、キャラクターのポーズや服装、背景によっても工数は変わりますが、今回は仮に上記の工数がかかると仮定します。合計日数は7日ですね。
- フリーランスの月収 50万円
- 一ヶ月の営業日を20日とした日収 2.5万円
- イラスト一枚の価格 17.5万円
イラスト一枚の価格は17.5万円になります。これだけの価格がないとフリーランスの方は生活していけないので妥当な金額でしょう。
金額的には月額100万円のコミュニティの場合、依頼することのできるイラスト点数は約5.7枚ということになりました。
もし仮にイラストだけのコミュニティだとしたら、100人の依頼人のうち、発注できるのは5人か多くても6人ということになります。これだと依頼人が集まらず、デザイン頼み放題どころか、コミュニティそのものが成立するのが難しいでしょう。
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コニュニティが成立する適正額を考える
ではコミュニティについて、どれくらいの金額であれば成立するのかを、依頼する側から考えてみます。私自身は協力会社やフリーランスの方に発注する側でもあるので、こんなサービスがあれば利用したい、という視点で考えてみました。
- 月額 10万円
- 依頼点数 2点まで
- リテイク 2回まで
イラスト1点が17.5万円と記載しましたが、イラストにもいろんなケースがあります。カードゲームでいうと、ノーマルやレアなどのランクが低いカードであれば、描く人やクオリティよりも、なるべく安く上げたいというときもあります。
1点5万円でリテイクも数回できれば、御の字というところでしょうか。あとはクオリティをどう担保するのかが問題になります。商業作品に耐えられないレベルのイラストが上がってきたりするとさすがに困るので、できれば担当するデザイナーの作品が事前に確認できるシステムがあれば良いですね。
コミュニティの運営をどうするか
実際に運営する方法としては、カンバン方式が良いと思います。タスクを壁に張り出し、全員で共有する形です。もちろん現実の壁に貼るのではなく、ネットワーク上で確認する形ですね。
(出典 jooto.com)
画像はWeb上で扱えるプロジェクト・タスク管理ツールです。こういうツールを利用して、依頼中の案件を貼り、手の空いているデザイナーが担当して報酬を得ていく、という形式だと機能するのではないでしょうか。
まとめ ー そのままでは成立しないが、アイデアとしておもしろい
デザイナーのコミュニティについて考えてみると、そのままでは成立しないがアイデアとしてはおもしろい、と思います。
今回の私の考察はまだまだ抜けがあると思いますが、もっと詳細を詰めれば、ランサーズやクラウドワークスとはまた違った、クラウドソーシングとして成立するかもしれません。
誰かやってくれないかなあ。
という他力本願なセリフを書いて、今日はこの辺で。