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ゲーム開発におけるマイルストーンとスケジュールの違い

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混同されやすい言葉としてマイルストーンとスケジュールあります。

 

業界や会社によっても違うと思いますが、ゲーム業界の場合だと概ね下記のようになります。

  • マイルストーン 要件と期日が決められているもの
  • スケジュール マイルストーンを実行するための計画

マイルストーンとスケジュール

今回はゲーム開発における、マイルストーンとスケジュールについて書いてみます。

 

 

ゲーム開発における代表的なマイルストーン

冒頭にマイルストーンとして、要件と期日が決められている、と記載しました。期日に関してはゲーム開発の規模によって大きく左右されるので、あくまでも参考程度にしていただければと思います。

 

企画

プランナーやディレクターが企画を考えている段階です。企画フェイズとか単に企画と呼ばれることもあります。

 

このデザイナーやプログラマーは参加せず、主にプランナーがゲームの企画を書類として作成します。Excelで作られることもありますが、多くはPowerPointなどで5-20ページの企画書としてまとめられます。

 

世界観を表現するためのビジュアルや、ゲームの仕様を策定した仕様書、どんなパラメータを持っているかパラメータ定義書、ゲームの画面遷移を記載した画面フローなどの書類も要件として定義されることもあります。

 

期間は短いものでは1-2週間の場合もありますが、概ね1ヶ月から3ヶ月くらいでしょうか。ただ長いものだと数年というのも実際にあります。

 

よく「構想何年」というフレーズで宣伝されるゲームがあり、嘘だろ!、と思われるかもしれませんが、実際に数年かけて企画を練り続けているゲームもあったりします。

 

あるゲームの開発に参加したときに、仕様書のバージョン表記に数年前の日付が記載されていたことがありました。担当の人に聞いたら、数年前からずっと企画を練り続けていたとのことでした。もちろんそれにかかりきりという訳ではないと思いますが。


プロトタイプ(モック開発)

その名の通り、ゲームの基本となる部分だけを動く状態で作成します。面クリアタイプのゲームだと一面だけとか、そのゲームのメインとなる要素だけを動くようにした段階がプロトタイプです。

  • 対戦格闘 主人公と相手キャラクターで対戦することができる
  • RPG 最初のフィールドを動き回ることができる
  • スポーツゲーム 試合のシーンだけをプレイすることができる

いくつか代表的なものを上げてみましたが、上記のようにそのゲームの一番の売りなる部分だけを動くようにしたものがプロトタイプです。ゲームの一番おもしろい部分を動く状態にして確認する、といってもいいでしょう。

 

現場では「プロト」と略して呼ぶことが多いかな。

モック開発と呼ぶ会社は「モック」と略します。

 

プログラマーやデザイナーも参加して開発するため、概ね3ヶ月から半年くらいの期間があるのが一般的です。


アルファ版

ゲームの仕様が概ね搭載されたバージョンです。
各種モードやキャラクターなどゲームの大部分が搭載されます。ゲームの基本的な骨組みが完成した状態といっていいでしょう。

 

アルファ版の定義はプロジェクトによって様々です。ベータ版の後ろの本開発があるプロジェクトでは、アルファ版はプロトタイプに毛が生えた程度のこともありますし、ベータ版=本開発だと、この段階で完成に近いところまで持っていくこともあります。

 

期間的には数ヶ月から長くても7-8ヶ月くらいでしょうか。アルファを1年かけて作るとなると、長いという印象があります。

 

ベータ版(本開発)

ベータ版=本開発の場合もありますし、ベータ版と本開発が別になっている場合もあります。

 

要はゲームの仕様は全て確定し、様々なものを量産している段階です。私の所属している会社は孫請けのゲーム開発会社なので、この段階から参画することもよくあります。

 

たとえばRPGゲームだと、ひたすらキャラクターモデルを量産したり、武器モデルを制作したり、モンスターを作ったりします。仕様が決まっていて、ひたすら量産している段階なので、量産期間といっている会社もありました。

 

期間は半年から長いと2年くらいでしょうか。この期間にゲーム開発にとって、重要な要素であるバランス調整も行うので、開発期間としては最も長くなるのが一般的です。

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ゲーム開発におけるスケジュール

スケジュールとは、マイルストーンで定義された要件を実行に移すための計画です。

 

たとえば対戦格闘ゲームのプロトタイプを製作するとします。

  • キャラクター2体
  • 背景 1ステージ
  • 技のモーション 8種類
  • 必殺技 1種類
  • ヒットエフェクトとダメージエフェクト

仮に上記の要素がプロトタイプに必要な場合は、誰がいつまでにどれを作成するのか、というのを明確にしたのがスケジュールです。それぞれを工数計算して、チャートに落とし込んだのがガントチャートですが、ここではそれは省略します。

 

マイルストーンで定められた期日までに間に合わなかった場合

書いていて怖い見出しですね(^^;

 

ゲーム開発の現場で怖いのは、マイルストーンで定められた期日までに要件を満たせなかった場合です。スケジュール通りにゲーム開発が進まなかった場合と言い換えても良いでしょう。

 

もっと平たくいうと炎上ですね。

この場合、3種類の対応があります。

 

マイルストーンの要件を変える

たとえばスケジュールで定義した対戦格闘ゲームの場合、

  • キャラクター2体→1体
  • 背景 1ステージ
  • 技のモーション 8種類→6種類
  • 必殺技 1種類
  • ヒットエフェクトとダメージエフェクト→ダメージエフェクトはなし

というように、要件そのものを変えて期日に間に合わせる方法です。

 

このときのマイルストーンが仮にアルファ版だと、漏れた要件は次のベータ版で搭載されることになります。もし、ベータ版だったりすると・・・発売延期ですかね(^^;

 

マイルストーンの期日を変える

期日までに間に合わないかどうかは、だいたい1-2ヶ月前には判明します。期日の前日になってから間に合わなない!、となることはありません。もしそうだったら、どんなけ管理してないねん!、という感じですね。

 

期日に間に合わないことが判明した時点で、決済権を持つ人に相談して、期日を変更します。

 

決済権を持つ人とは、開発会社の場合はクライアントであるゲームメーカーになります。ゲームメーカー内での開発の場合は、開発部長か役員になるでしょう。そういう決済権を持つ人に土下座しての判断を仰ぐことになります。

 

人員を追加する

要件を期日までに満たすために、開発人員を追加で投入する方法です。ゲームメーカーや大手開発会社には可能な手法ですが、下請け開発会社の場合は難しい問題が重なってきます。

 

予算です。

 

クライアントからもらっている予算以上に人員をつぎ込んで、予算内におさまるのなら良いのですが、おさまらない場合は苦渋の決断をすることになります。

 

仕事を請けた以上、完遂させるために予算以上に人員をつぎ込むというのは正しいのかもしれません。でも、ゲーム開発会社も営利企業なので、赤字になるプロジェクトを完遂させる必要があるのかという問題もあります。

 

この辺りは、なぜ期日までに間に合わなかったか、で判断が分かれることになるでしょう。もし、ゲームメーカーが途中で仕様変更を繰り返したのであれば、これ以上はお付き合いできませんといって断ることもあるでしょうし、それとは逆に自社内の不手際で開発が遅れたのであれば、信用のために仕事を完遂させるという判断もあるかと思います。

 

まとめ ー マイルストーンの途中で消えたゲームはたくさん

ゲーム開発は、世の中に出たゲーム以上に、開発途中で消えたゲームがあります。もちろん正確な数など数えようがないので、私の憶測になっちゃうのですが。

 

私の実体験だと、過去に1年以上開発していて、アルファ版まで完成していたゲームが開発中止になったことがあります。このまま開発を続けて販売しても売れない、というゲームメーカーの役員さんの判断でした。

 

当時の私は開発に関わる一デザイナーでしたが(今もか(^^;)、担当していたディレクターの方が自分の席で、視点が定まらないまま茫然自失状態だったのを今でも覚えています。ディレクターの方は、アルファ版完成の一ヶ月前はほとんど会社に泊まりこんでいるような状態だったので・・・

 

いつものように、まとめといいつつも、あまりまとまっていませんが(^^;、ひとまずこの辺で。